No.0421

2025.8.10 発行

ヒューライツ議員団だより
橿原公苑におけるスポーツ拠点施設整備、南部中核拠点の整備など ヒューライツ議員団が質問 / 県議会6月定例会

エキスパートが斬る
地域から学ぶもの 一般社団法人奈良県中小企業診断士会 中小企業診断士 横田 裕導

2025年度 これからの時代のための総合人権講座 事業者編のご案内

企業連・中企連 / 2025年度 経理会計能力開発セミナーのご案内

銀ちゃんの ありのまま自分のまま 第48席 【性善説を信じたいけど、でもね】

中企連掲示板




 連日の猛暑。外でお仕事をされている方々には頭が下がる。ごく稀に、我々も屋外で落語をするなんてことがあるが、それでも真夏や真冬にはない。季節に関係なく外に出る職業は本当に大変である。例えば、宅配業者。汗だくになって配達している。先日、ウチに来た宅配のお兄さんに「お疲れ様です」と声をかけ、落語会でお客様から頂いたリポビタンDをプレゼントすると、とても喜ばれた。頂き物なので恐縮した。
 我が家は極力、不在にならないように気をつけている。何度も配達に来てもらうのは申し訳ない。最近は、不在時に玄関先に荷物を置いてもらう「置き配」を利用する人も多いと聞く。これなら、宅配業者にとっても時間と労力の無駄がなくなる。その「置き配」で、6月に兵庫県姫路市で窃盗事件が起きた。中学3年生の少女が他人の家に置き配されていた韓国のりを盗んだのである。少女は「中身に興味があって気になったので持ち出した。袋を開けて韓国のりだったのでハズレだと思った。私は韓国のりが好きではないので友達にあげました」と供述したとのこと。私はこのニュースを知り、「そんなことをしてはいけない!」と思う以上に、真っ先に「どうして韓国のりだとハズレなんだ! あんなに美味しい韓国のりだぞ! ハズレなんて言う奴は韓国のりに対して失礼だ! 韓国のりに謝れ!」と憤慨した。
 悲しいかな、もう随分前から、世界はもちろんのこと日本においても、性善説は崩壊したと感じている。だから私は置き配を選択しない。「盗む人がいるかもしれない」と考えているからだ。
時々、飲食店や新幹線の車内で、スマホやノートパソコンをテーブルの上に置いたままトイレに行く人を見かける。信じられない。「そんなとこに置きっぱなしにしていたら、誰かに盗られますよ」と言いたくなる。しかし、赤の他人にそんな風に声をかけたら、かえって不審者に思われるかもしれないので言わない。言わない代わりに、その人が席に戻るまで、私はチラチラとテーブルを見ている。なぜ、私が監視しないといけないのだ。しかし、心配だからチラ見をする。まるで私がそれを盗もうとしているみたいだ。
 私と同じ鶴瓶一門の後輩落語家が以前、車上荒らしに遭い、金品を盗まれたことがあった。その後、師匠・鶴瓶と彼だけが出演する落語会があった。事件後、神経質になった彼は、財布を師匠と一緒にいる楽屋ではなく、舞台袖に置こうとした。師匠が笑いながら言った。「なんで俺がお前の金を盗まなアカンねん! お前の何倍も稼いでるわ!」。
 もちろん、世の中には「心から信じられる人」がたくさんいる。私の周りにも存在する。しかし、その逆もまた然り。自分の身は自分で守る。  最後にもう一度だけ言いたい。韓国のりはハズレじゃない! 今から食べよう。